北朝鮮が7日、金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長の実妹、金与正(キムヨジョン)党宣伝扇動部副部長の訪韓を発表した。「白頭山血統」と呼ばれる、北朝鮮最高指導者の直系血族の初めての訪韓になる。正恩氏が最も信頼し、最も近い存在とされる与正氏とはどんな人物なのか。
与正氏は1987年ごろ、金正日(キムジョンイル)総書記と元在日朝鮮人の高英姫(コヨンヒ)夫人との間に生まれた。幼少期から兄の正哲(ジョンチョル)氏、3歳ほど離れた正恩氏と一緒に、一般社会から隔離されて育てられた。知人が極めて限られた正恩氏にとって、正哲氏が公職に就かないなか、与正氏が心を許せる唯一の側近とされる。
複数の北朝鮮関係筋によれば、与正氏は、高英姫夫人ががん治療でフランスに滞在した際、偽名を使ってユネスコ(国連教育科学文化機関)の北朝鮮代表部員として渡仏し、母親の看病にあたった。
聡明(そうめい)な人物とされ、金総書記は、与正氏が男性なら後継者にしたかったという考えを周囲に漏らしたことがあるという。
正恩氏が権力を継承した2011年末以降、与正氏も徐々に公開活動を開始。平壌での軍事パレードの際、正恩氏の背後で演説文を準備したり、事前の警備状況をチェックしたりする姿が目撃された。
「愛民政治」と呼ばれる市民を重視した正恩氏の政治スタイルを演出するため、現地指導の際、市民と触れ合う時間を増やすよう指示したとも言われる。
6日付の労働新聞(電子版)は、平壌を出発する三池淵管弦楽団を見送る与正氏の写真を掲載した。(ソウル=牧野愛博)
オリンピック 閉会後に・・・・・