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介護を 考える …… 鳥居 りんこ 1~2

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 さまざまな方の介護体験や意見をお伝えする「 わたしの思い 」。今回は、エッセイストの鳥居りんこさんに、親の介護に奮闘してきた10年余りの日々を語っていただきました。4回に分けて連載します。毎週木曜日に配信する予定です。

     


 10年ほど前、肺がんで1年ほど闘病した父が亡くなりました。最後は実家で母、姉と一緒に看病をしましたが、在宅ケアの訪問医から診察を受けるほかに、がん専門医のいる外来でも診察を受けなければならず、座って待てない父を処置室に寝かせてもらったこともあります。なんでこんなにつらい思いをして通院しなければならないのかと、あのときは思いました。私たちはできるだけのことはやったし、父も生き抜いてくれたと思います。父とは、いろいろなことをたくさん話す時間も持てました。

 母は、父が亡くなる前々日、トイレに行こうとした父を支えきれず、腰を痛めて腰椎圧迫骨折と診断されました。その頃から母はよく転び、骨折を繰り返すようになったんです。

 このとき、初めて介護保険制度というものがあることを知りました。でも私は、全く何もわかっていませんでした。「 包括( 支援センター ) 」と言われても、「 ホーカツって何? 」。いろいろな単語がわからなくて、言葉に気を取られている間に介護の専門家の話が進んでしまい、困ったこともありました。

 たいていの人の介護は、何も情報がない中で、いきなり始まります。私も、なぜこんな目に遭うのか、という理不尽な思いを抱えて、どこから情報を取ればいいかもわからず、手探り状態でした。

 でも行政は「 お前だけ手厚く救えるわけがないから 」「 ご家庭で、自己責任でおやりください 」というスタンスです。そこをどうやって切り開いていくかが重要なんです。

 介護はすべて情報戦であり、自己申告。自分が苦しいということをいかに主張し、助けのツールを複数持っているかどうかが勝負の分かれ目になります。

 介護で必要なのは、まず第一に介護保険制度を勉強すること。第二に、その中で自分が何をできるか考えること。制度はどんどん変わっていくので、いま現在の制度を学ぶ必要があります。そして自分で優先順位を決めて、できないことは第三者にお願いする。その繰り返しです。

 諦めずに、わらをつかむために走り回るんです。介護は、助けを求めるわらをつかんだ者勝ち。でもロープじゃない。無いよりマシというぐらいの、危うい綱渡りです。

 ケアマネジャーさん、ヘルパーさん、ナースだけでなく、医者、福祉用具のレンタル業者もときどき来る、というと手厚いように見えるけれど、みんなせいぜい30分。残りの23時間半は誰がみるのか、ということが問題なんです。けがは一瞬で起きる。でも、親につきっきりで生活するのは、とても難しいことですよね。

 私が自宅での介護に限界を感じたのは、夜中です。当時、母は自力でトイレに行くことが難しく、介助が必要でした。

 子どもが赤ちゃんの頃、母親は2時間おきぐらいに自分の意思と関係なく起こされる生活を1年間続けます。すごく疲れるけれど、徐々に睡眠時間は延びていきます。でも、介護は何年かかるかわかりません。

 赤ちゃんがおむつを汚してもたいしたことはないけれど、親が大便まみれになると大騒ぎになり、しかも、どんどんひどくなる。夜中にいつ起こされるかわからない状態で、朝になると仕事に行かなければいけない。このままでは母に殺される、と真剣に悩みました。

 夜勤のプロ、介護のプロの力が必要だと考えて、あちこちの特別養護老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅を探し、最終的に、私の家に近い介護付き有料老人ホームに入居を決めました。このときの詳しいいきさつは、拙著「 鳥居りんこの親の介護は知らなきゃバカ見ることだらけ 」をご覧ください。

     ◇

 鳥居りんこさん(とりい・りんこ) 1962年生まれ。エッセイスト、教育・子育てアドバイザー、受験カウンセラー。2003年、長男の中学受験体験をつづった初の著書「偏差値30からの中学受験合格記」(学研)がベストセラーに。「偏差値30からの中学受験シリーズ」は計6タイトル出版された。執筆・講演活動を通じ、育児や受験、就活に悩む母親たちを応援。最近は親の介護問題についても実体験をもとに発信し、昨年「鳥居りんこの親の介護は知らなきゃバカ見ることだらけ」(ダイヤモンド社)を出した。近著は、今夏出版の「中学受験 わが子を合格させる父親道」(同)。ブログは「湘南オバちゃんクラブ」(http://to-rinko-houmonki.blogspot.jp/別ウインドウで開きます)。

     

more に PART 2





 



Part 2

母の介護で、私が一番きついのはメンタル面です。行政や老人ホームの書類の手続きといった事務作業もありますが、それよりもメンタルです。

 この前、母を落語に連れて行きました。外出先でのトイレ問題は深刻で、自力歩行が難しい人を連れ出すのは大変なんですが、たまには外の風を感じてもらおうと、一大決心をして一緒に外出したのです。

 でも母は「 あなたが行きたかったんでしょ? 来られて、良かったわね( 私はあくまでお付き合いしてあげたの。あなたは私のお金で楽しめてよかったわね ) 」と言いました。

 ここで私がお金を出せば私の完全勝利ですが、そこまですると逆にかわいそうなので、「 お金を出してくれてありがとう 」と母に伝えました。

 私が欲しいのは「 今日は連れてきてくれてありがとう。本当に楽しかった 」という一言だけなんですが、

実際の母は「 楽しい思いをさせてあげたエライあたくし 」という立ち位置。期待したような言葉など全くありませんでした。そういう母の言葉に、わかってはいてもどんどん心が折れていくんです。

 少し前に母のいる老人ホームで、母と94歳の女性が話していました。「 息子には愚痴は言えないけど、娘には何でも言えるから本当に楽よね。娘を産んどいて本当に良かったわ 」。娘は母のうっぷんやら愚痴のすべてを吸収するゴミ箱で、自分の分身として娘を育てた、と二人で意気投合していました。

 私は、姉と兄との3人きょうだいで、母は「 長男教 」です。一度、「 そんなにお兄ちゃんラブで私に文句を言うなら、お兄ちゃんのところに行けば? 」と聞いたら、母は一言、「 そんなご迷惑はおかけできない! 」と。

 ここまで言い切ったら逆にあっぱれです。私の想像の斜め上をいったと思いました。

 兄は「 母には遠くでいつまでも生きていてほしい 」というスタンス。部外者の発想です。茶々は入れても、自分は手を汚さない。

 拙書の「 鳥居りんこの親の介護は知らなきゃバカ見ることだらけ 」を書いていた頃、キーパーソンは姉で、事務的な手続きや夕食を母に届けることは姉がやっていました。私は母のメンタルを引き受けて、何度も繰り返される母の愚痴を聞く役目だったんです。

 うちに近い介護付き有料老人ホームに母を入れてから、キーパーソンが私に替わり、事務作業も全部私がやることになりました。しかし、何百万回も繰り返される「 世界で一番不幸な私( 母 ) 」を拝聴するお役目は相変わらず私です。

 せめてメンタル面を支えて欲しい、と姉に頼んだら、「 ごめん、それはできない 」と。姉は「 その話は前に聞いたから二度と言わないで 」と母に言えるし、そうやって自分のメンタルを保ってきました。

一方の私は、何でも「 はいはい、そうですね。あなたが世界一不幸 」と母の話を聞くので、母も言いやすい。

 なぜなら、私はこの母によって「 ピエロ 」として調教されて、早、半世紀なので、わかってはいても軌道修正が難しいのです。でも私はきつい。

 結局、いま75歳以上の年代の人には、息子には嫌われたくないし迷惑をかけたくないけれど、娘には「 何でもやってね 」という気持ちがある。親が長生きすればするほど、きょうだいの仲はどんどん悪くなるんじゃないか、一人っ子の方がむしろ楽なんじゃないかとすら思えてきます。

 親戚や母の知人たちからは「 お母さんをよろしくね 」と頻繁に言われます。母もそういう人たちにいろいろ不満を言うのでしょう。それでおばちゃんたちは私に「 お母さんを大事にしてあげてね~ 」と何度も念押ししてきます。

 でも、私はこう言いたい。「 私にも家庭と仕事がある中、母のところに週に2日は顔を出し、外出にも頻繁に連れ出し、病院にも付き添いをしという日々を繰り返し、もうすぐ4年めに突入だよ。これ以上、何をしろと? 『 大事にしてあげてね 』と思うなら、そう思う人が大事にしてあげてください! 」と。実際は言えませんが……(「4年め」の前に、実家へ介護に通った6年間があるので、母の介護は10年めに突入します)。

 母はいま84歳。誰の世話にもなっていない、という姿勢は崩していません。世話になっていると認めたら敗北。親が上、子どもが下、という絶対的な価値観があって、自分の介護を娘がやるのは当然。しかもそんなに大変な思いはさせていないと考えているようです。親の介護経験がないまま老いてしまった、高度経済成長期の専業主婦の典型のような気がします。


四編 出揃うまで 待ってました!!!

残りの 「 3 」と〈 4 〉は …… 明日の 投稿迄 ……… お待ちください


【 義肢製作所 】も 『 福祉 』部門です ……

勿論『 厚労省 』管轄ですから …… 〔 福祉事務所 〕とは “ 縁 ” 切り!!!とは… いきません、、、、

わたし自身「 義足 」装着者ですしね …

利用者( 福祉法 )としては …… “ 負担金 無し ” に すべきだ!!!と云いつつ ………


そうもいかない、、、

其れは、二年毎に「 新作 」を作れるから …… ! デスガァ〜 … 全てを 認可しません、、、福祉事務所は ………

國の 予算配分!!!

変えない限り …… 、、、

福祉 は 復し( ふくする )!!!


……………… ですよねぇ 〜 〜 ………………


by tomoyoshikatsu | 2016-09-29 13:52 | 福祉