「 難民 」、、、、

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 法務省が12日、急増する就労目的の難民申請者を抑制するため、審査手続きを変更すると発表した。これまで正規に入国した申請者すべてに認めてきた審査期間中の在留や就労を制限する。認定判断のスピードを上げる狙いだが、難民保護の観点で問題視する指摘や、外国人労働者に頼る現場には疑問の声がある。

法務省「真の難民の保護、進めたい」

 「難民の受け入れを消極的にするという趣旨ではない」。上川陽子法相は12日、新たな運用を説明する会見で、こう強調した。

 これまで違法滞在者以外のすべての難民申請者に対し、申請の6カ月後から一律に就労や在留を認めてきた。今後は在留、就労の資格を一部制限し、書面審査で就労目的などと判断すれば、すぐに強制退去手続きに入れるようになる。

 法務省によると、15日の申請分から、申請後2カ月以内に、書面審査で「難民の可能性が高い」「(就労目的など)明らかに難民に該当しない」「同じ理由の再申請」「その他」の4種類に分類。就労目的の難民申請や、同じ理由で申請を繰り返す人には強制退去の手続きを進め、実習先から逃げた技能実習生や退学した留学生らに対しては、審査中の就労を認めない。

 一方、難民の可能性が高いと判断されれば、すみやかに就労可能な在留資格を付与。いずれとも判断が難しい人は、申請から6カ月後以降に就労可能な在留資格を与えるという。

ログイン前の続き こうした変更の背景には、アジア諸国などで、「日本では難民審査中は働ける」との認識が広がり、難民申請者が急増したことがある。2010年に1202人だった申請者は急増。17年は9月までで過去最高の1万4043人に達した。

 同省によると、同年1~9月に1次審査で不認定となった外国人のうち半数以上は、「借金に関する問題」「日本で働くため」などの理由。フィリピン(3177人)、ベトナム(2329人)、スリランカ(1825人)、インドネシア(1342人)などが上位を占め、「大量の難民を生じさせる事情のない国からの申請者が大半」(同省難民認定室)だったという。

 現在は、1次審査と不認定後の不服申立期間をあわせ、審査に平均2年9カ月かかっており、却下されるまで2年程度の就労が可能になる形だ。また、実習先から逃げ出したり、留学先を退学したりした外国人による難民申請も全体の約2割を占めているという。

 同省は今回の運用変更で、就労を認める対象が申請者全体の4割程度にまで減るとみる。就労目的の申請者を減らすことで、効率的に審査をし「真の難民の保護を進めたい」とする。

「強制退去させたいだけでは」

 「なぜオーバーステイになったのかわからない」。難民申請を繰り返し10年近く日本に滞在後、強制退去を迫られたエチオピア人の男性(41)は昨年12月、入国管理局の口頭審理で困惑気味に訴えた。

 支援する鈴木雅子弁護士によると、男性は母国で野党の活動家だった。政府の弾圧を受け、2007年9月に来日後、2回の難民申請を退けられ、3回目の申請中だった。渡米した男性の妹は12年9月、男性の妹であることを理由に難民と認められていた。

 男性は審査の間に日本で就労が認められ、食品製造の仕事などで生計を立てた。だが、昨年8月に突然、在留資格の更新が不許可とされ、東京入国管理局に収容されて、強制退去の手続きが始まった。仮に今回の変更をあてはめると、遅くても12年の2回目の申請後に、「再申請」を理由に強制退去手続きが始まることになる。

 鈴木弁護士は今回の運用見直しに対し、「政府は難民をいかに『受け入れないか』に主眼を置いている。見直しが難民の保護につながるわけではない」と話す。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)のまとめでは、16年末の世界の難民数は過去最高の約2250万人。法務省によると、日本の難民認定数は16年で28人、「人道的な配慮」で在留許可を受けた人も97人にとどまる。17年も9月までの難民認定は10人、同在留許可は34人だ。

 一方、労働力不足に悩む農業や製造業は、難民申請者を含む外国人労働者を頼みにしている。厚生労働省のまとめでは16年10月時点で国内にいる外国人労働者は約108万人。このうち、技能実習生と留学生が約4割を占める。

 「書類だけで本当に難民かどうかを見分けることができるのか」。難民申請中のスリランカ人の男性3人を含む外国人十数人を不定期で雇う千葉県の60代の農業男性は首をひねる。

 両親と妻の計4人で青果を育ててきた。母親が病気で倒れ、人手不足が深刻化した5年ほど前、仕事を探しに訪れたタイ人を雇って以降、口コミで来る外国人を日雇いアルバイトで使ってきた。重労働の農作業では日本人労働者の確保が難しく、外国人の日本での安定した生活を支援したいという思いもあったという。

 別の外国人の紹介で来たスリランカ人たちを雇い始めたのは約5カ月前。男性には母国で敵対する政治勢力に迫害されるとして難民申請をしていると語り、帰国後に射殺された友人もいると説明したという。

 もしスリランカ人たちの申請が退けられれば、次の申請時に「再申請」に分類されて在留資格が与えられず、強制退去手続きが進められることになる。

 男性は、「彼らのおかげで仕事が支えられている。真の難民を保護するためと言うが、一方的に外国人を強制退去させたいだけではないか」と話す。(小松隆次郎、小林孝也)

難民審査参与員で、日本在住外国人を支援する社会福祉法人「さぽうと21」の吹浦忠正理事長の話

 就労目的の申請で、入管当局には翻訳などの膨大な負担がかかり、救済が必要な難民の認定が遅れていた。運用見直しは理解できるが、外国人との共生社会を築くという観点では根本的な解決にならない。多くの現場が人手不足に悩み、外国人労働者に頼っている。政府全体で取り組むべき問題だ。

全国難民弁護団連絡会議の小田川綾音弁護士の話

 難民の受け入れは、国際協力の負担分担なのに、日本は保護すべき難民を認定せず、役割を果たしてこなかった。難民は母国に帰れば身の危険にさらされ、認定されなくても、申請を繰り返すしかない。就労目的の申請者を減らすことが「真の難民」の保護につながるわけではない。滞在国での生活には仕事が必要で法務省の見直しは問題だ。改めるべきは、難民保護に対する理解と姿勢だ。



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by tomoyoshikatsu | 2018-01-14 17:14 | 呟き | Trackback | Comments(0)