最終処分場は、使用済み燃料を溶かしてガラスと混ぜた固化体を300メートルより深い地下に埋める。ガラスや容器が数万年で溶けても、放射能が地表に影響しないレベルに下がる10万年は閉じ込められるよう、地下水や地盤の変化などの影響が少ない場所を探す。
地図は、これまでに公表されていた活断層や火山、地盤などの情報をベースに、日本全国を4色に色分けした。火山から15キロ以内や活断層の近くなど、地下の安定性の観点から好ましくないと推定される地域をオレンジ色、地下に石油や天然ガス、石炭などがあって将来採掘される可能性がある地域を銀色にしている。これらの「好ましくない」地域以外のところを、「好ましい特性が確認できる可能性が相対的に高い」として緑色に塗った。緑色の地域のうち、海岸線から20キロ以内は「輸送面でも好ましい」として、さらに濃い緑色に強調した。
面積の割合では、オレンジ色と銀色を合わせた「好ましくない」地域と、緑色、濃い緑色の地域がほぼ3分の1ずつだった。濃い緑色がある自治体は約900に上り、東京や神奈川、愛知、大阪など大都市圏も含む。経産省は「未知の断層も含め、実際の選定では個別に地質調査していくことになる」とした。
経産省は今秋から、全国で説明会を開くとともに、濃い緑色の地域の自治体を重点に、処分場のリスクや必要性について対話活動を続ける。20年ほどかけて候補地を絞り込む方針だ。ただ、事故を起こした東京電力福島第一原発がある福島県と、処分場を造らないことを歴代政権と確認している青森県の自治体には、協力を働きかけないとしている。
処分場の選定をめぐっては、原子力発電環境整備機構(NUMO)が2002年から自治体を公募。07年に高知県東洋町が調査に応募したが、住民の反対で取り下げた。その後、応募する自治体は現れず、国は15年に方針を改定。地図を示した上で、国から調査を申し入れることにしていた。(東山正宜)