「 盲ろう者 」の グループ ホーム

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 目も耳も不自由な「盲ろう者」専用のグループホームが3月、大阪市天王寺区にオープンした。「すまいるレジデンス for the DeafBlind」(愛称・ミッキーハウス)。入居者との会話や外出支援を重視してスタッフを手厚く配置した。全国盲ろう者協会(東京)によると、こうした施設は全国初。人手確保が難しく、全国的な広がりには課題が残る。

 グループホームは5階建てで、全10室(各約8平方メートル)。家賃は光熱費込みで6万5千~7万5千円。点字の建物案内板などを備えたほか、自分が何階にいるか分かるよう弱視の人のために床を階ごとに色分けした。各室のインターホンを押すと、住人の小型受信機とベッドが振動して訪問を知らせる仕組みもある。

 現在の入居者は20~60代の男女7人。残る3室も入居が決まりつつある。支援スタッフは24時間態勢で昼間は5人ほど、夜間も1人が常駐している。

 ホームでの生活は――。

 昼食の準備ができた正午前。入居者たちが1階リビングに集まった。入居者と入居者、入居者とスタッフは手と手で触れ合い、互いの手話の動きを読み取る「触手話(しょくしゅわ)」で会話する。手話は地域ごとに違う場合もあるため、手のひらに文字を書くこともある。

 匂いに気づいた入居者の1人は「カレーかな」と手を動かした。スタッフは「よくわかったね」と返した。スタッフが一人ひとりに触手話でメニューを説明する。皿を触らせると「こっちがカレー」「こっちはゆでたブロッコリーにマヨネーズをつけたもの」。食べ終わると入居者は食器を重ねキッチンまで運んだ。

 60代の男性入居者が買い物に出かけた。スタッフの背中に両手を置いて1分ほど歩き、コンビニエンスストアについた。「チョコ味のビスケットが欲しい」と触手話で伝えると、スタッフが商品を手渡す。箱の形で覚えている男性は「違う。もっと細長い」。目当ての商品を探すまで5分ほどかかった。他の商品も合わせ、レジでスタッフに金額を教えてもらい、自分で財布からぴったりの金額を取り出した。

 三重県から入居した棚瀬恒二さん(65)はこれまで知的障害者らと一緒の施設で約25年暮らした。「触手話ができる人がおらず、孤独だった」。だが高齢の母に迷惑をかけないよう我慢していた。「ここでは同じ盲ろう者もいて触手話で話せる。もう寂しくない」。家電量販店やゲームセンターに出かけるのが楽しみだ。

 盲ろう者にとっては待望の施設。運営するNPO法人「視聴覚二重障害者福祉センターすまいる」(大阪市天王寺区)の石塚由美子事務局長(58)の元には、大阪府外で盲ろう者支援の活動をしているNPO法人などから問い合わせが来ている。「全国のモデルとして成功させ、今後、盲ろう者が暮らしやすい場所が広がっていけばうれしい」。建設費約1億4千万円はローンと約20年かけて集めた寄付などでまかなったという。

■課題は人手不足

 全国盲ろう者協会によると、全国に盲ろう者は約1万4千人(2012年度)いる。

 厚生労働省によると、障害者総合支援法に基づき、障害者が入居するグループホームは入居者数や障害の重さ、運営スタッフ数に応じて国から運営費が補助される。ただ、視覚や聴覚いずれかの障害者に比べ、二重に障害がある盲ろう者は意思疎通するために、より人手がかかるが、制度上は考慮されていないという。

 今回設立されたグループホームでも運営NPO法人が重視しているのが、意思疎通だ。盲ろう者は手話や点字ができる人が1対1でつかないと会話できない。そのため他の施設よりもスタッフを多めに配置した。

 例えば昼食を待つ間、スタッフは入居者から引っ張りだこだった。「今この部屋に誰がいる?」「午後からどこに行くの?」と質問攻め。石塚事務局長は「盲ろう者は他人がいないと、なかなか情報が得られない。みんなスタッフと話したがるんです」と解説する。

 特に負担が重いのは外出支援。人手が足らず、入居者に外出日時を変えてもらうこともある。悩みの種は人件費。寄付に頼らざるを得ない現状があるという。(藤波優)

     ◇

 〈全国盲ろう者協会の山下正知事務局長の話〉盲ろう者専用のグループホームがこれまでなかったのは、意思疎通に人件費がかさむという事情が大きかった。1対1でしかコミュニケーションがとれない盲ろう者の事情を考慮し、国は特別に運営費の加算を設けるなど十分な支援をしてほしい。

写真等

アサデジより!!!


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by tomoyoshikatsu | 2017-06-17 21:55 | 呟き | Trackback | Comments(0)