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各禁止条約に…… 朝長 氏 長崎市

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 核兵器禁止条約の交渉会議(6月15日~7月7日)の再開にあわせて渡米する被爆者で医師の朝長(ともなが)万左男(まさお)さん(74)=長崎市=が8日、田上富久市長を表敬訪問した。「条約は新しい出発点。実効性があるものになるよう提言したい」と語った。

 朝長さんは日赤長崎原爆病院名誉院長。原爆放射線の人体影響を研究し、国際会議でも発表してきた。

 会議が再開する15日にはNGO代表の一人として、ニューヨークの国連本部で発言できるよう調整中だ。約10日間の滞在中、複数の関連行事にも参加し、スピーチなどをする予定だ。

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 表敬訪問で田上市長は、「長崎の思いを伝えてきていただきたい」とエールを送った。(真野啓太)

 朝長万左男さんに、核兵器禁止条約の意義や条約交渉の見通しについて聞いた。

     ◇

 条約そのものは、今回の会議で成立する見込みだ。画期的な条約。被爆者の長年の証言活動が定着してきたと感じる。

 だが核保有国や日本のような核の傘に依存する国が不参加で、実質的な核廃絶にどの程度つながるのか、見通せない。条約成立後も核保有国にアプローチできるような内容にしてもらいたいと、現地では訴えるつもりだ。

 現状は厳しい。5月に条約の草案が示されたが、核保有国が積極的に参加できる内容にはなっていない。核兵器に依存する国は、「世界の安全保障は核兵器に依存している」「核兵器がないと、国民の生命・財産の安全を守れない」などと主張している。

 核を放棄しても、国の安全をどう守るかという対案を、条約推進派は示せていない。「非人道兵器だから廃絶する」という論理だけでは通じないのが現状だ。

 両者の考えに妥協点はありうるのか。本来は議論が必要だが、条約の成立を急ぐため、議論が十分にできていない。条約ができても核保有国側から無視され、核兵器の時代が固定化されるという危険性もある。

 だが自国の安全保障を理由に核を持つことは、「他国はどうでもいい」と言うに等しい。核兵器がひとたび使われたら、人類は滅亡しかねない。その責任がかえりみられていない。

 核兵器に依存した安全保障から次のステップへ。安全保障の考え方の転換が必要だ。数十年とかかるだろうが、核保有国も参加した包括的な禁止条約を作れるよう、今回の会議で全体図を描かないといけない。

 核保有国も日本も、究極的には核兵器の廃絶を目指していると思う。共通点を壊さないよう、議論を進めてほしいと思う。

 今回の条約はスタートライン。被爆地は核廃絶という最終目標に向け、証言活動を続け、世論を作っていかないといけない。(聞き手・真野啓太)



by tomoyoshikatsu | 2017-06-13 04:50 | 平和